『夜』

2010/03/20 suika

『夜』(エリ・ヴィーゼル著、村上光彦訳、みすず書房)読了。多感な年齢でナチ収容所に送られた著者によるこの手記は神への信頼をも打ち砕くほどの人間の残忍性を暴いている。これを読むとフランクルの『夜と霧』のポジティブさが異様にかんじられるくらい。「なぜ、おれたちをすぐに銃殺しないんだろうか。」(p.169)という呻きが重くのしかかる。なぜ、“絶滅させる”という目的がありながら、執拗なまでに地獄を生き延びさせたのか。この点は、絶滅収容所に関する書籍を読むたびに浮かびあがる疑問。

それにしても毎回思うのは、ナチスドイツを生き延びたユダヤ人たちの雄弁さ。日本も同じ時代に戦争をして、残虐の極みを実行した。これに巻き込まれた人びと(加害側も被害側も)の語りが目につかないのはなぜなのか(戦後生まれの作家によるノンフィクションならばいくつかある)。これはわたしの視点の持ち方がずれていて、それでわたしが“期待している”ような作品に出会わないのか。それともそもそもそんな作品がないからなのか。そうだとすれば、やはり戦後の戦争責任の総括のしかたの違いというところに話がいくのだろうか。んー、もう少しアンテナの張り方を考えたほうがいいってことかな。

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